息子がうつになって、私が最初にやってしまったことがあります。
「朝、散歩してみれば?」
「少し体を動かすと気持ちが楽になるよ」
やる気が起きないと言う息子に、善意で言いました。正しいことを言ったつもりでした。
返ってきたのは「そんな言葉を聞きたいんじゃない」という言葉でした。
なぜ正論がいけないのか
うつ病の人は、正論がわかっています。散歩がいいことも、規則正しい生活が大事なことも、頭ではわかっている。
でも体が動かない。それがうつ病です。
骨折した人に「歩けば早く治る」とは言いません。熱を出して寝ている人に「動け」とは言わない。
うつも同じです。心が骨折しているのに「こうすれば?」という言葉は、動けない人をさらに追い詰めます。「わかってる。でもできない」という絶望を重ねるだけです。
言ってはいけない言葉
- 「散歩してみれば?」「運動すると気持ちが上がるよ」
- 「気の持ちようだよ」
- 「みんな辛いんだから」
- 「いつまでそうしてるの」
- 「前向きに考えて」
- 「私の時代はもっと大変だった」
これらは全部、正論です。だから言ってはいけない。
私がやってしまったこと
喧嘩になったこともありました。
言ってはいけないとわかっていても、イライラしてしまう。私も人間だから。毎日、先が見えない状況で、つい言葉が出てしまう。
喧嘩の後、息子はオーバードーズしました。3回。
あの経験が、私に教えてくれました。言葉は命に関わるということを。
支える側もイライラして当然
誤解してほしくないのは、イライラすること自体は悪いことじゃないということです。
毎日、出口の見えない状況で、心が消耗しない人はいません。感情が出てくるのは当たり前です。
でも、その言葉をそのまま相手にぶつけないための工夫が必要でした。
代わりに使えた言葉
私が見つけた方法は、先に聞くことでした。
「今、どんな言葉をかけてほしい? 慰めてほしい? それとも一緒に考えてほしい?」
息子はぽつり、ぽつりと絞り出すように答えてくれました。
「慰めてほしい」「わからない」「共感してほしい」
一言ずつ、時間をかけて。
その一言が聞けた時、初めて本当に必要なものが届けられるようになりました。
うつの人が欲しい言葉は、その日の状態によって違います。解決策を求める日もあれば、ただ「つらいね」と言ってほしい日もある。だから先に聞く。それだけで、全然違いました。
共感するときの言葉
聞いた上で「共感してほしい」という日は:
- 「それは辛かったね」
- 「よく話してくれたね」
- 「そうか、そんな気持ちだったんだね」
ただ、受け取るだけ。解決しなくていい。答えを出さなくていい。
「ただそこにいる」が、一番の薬になることがある。
まとめ
| 言ってはいけない言葉 | 代わりに |
|---|---|
| こうすれば?(アドバイス) | 「今、どんな言葉がほしい?」と先に聞く |
| 気の持ちよう | 「そうか、つらいね」 |
| いつまでそうしてるの | 「ゆっくりでいいよ」 |
| 前向きに | 「そのままでいいよ」 |
うつは心の骨折です。骨折した人に走れとは言わない。それだけ覚えていてください。
そして、イライラしてしまう自分を責めないでください。あなたも、十分頑張っています。
最後に、これだけは伝えたい
治ります。
世間では「うつは治らない」と言う人もいます。長引くから、再発するから、そう思われることもある。
でも、私は治りました。息子も、回復しています。
だから諦めないでください。
今、毎日が苦しくて、先が見えなくて、自分を責めている人へ。支えながら限界を超えそうになっている人へ。
時間はかかります。でも、必ず光が見えてきます。
私がそれを証明しています。
うつは治るんだと信じてください。未来は明るいと信じてください。

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